松森美術

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茶道具 Tea Utensils

■織部茶入

織部茶入 織部茶入 織部茶入
◇平瀬亀之助(露香)旧蔵
◇「町衆の織部焼」
◇<六弁の花>
◇胴径 5.5cm 高さ 9.6cm 口径 2.7cm

本作は、平瀬亀之助(露香)旧蔵の織部茶入で、胴に六弁の花と串団子を彫文で描いてあります。
現代の視点で花と団子から連想されるのは花見で、花見の花と言えば桜となるでしょう。しかし、ここに描かれた花は六弁であり、通常桜花は五弁で描かれることが多いので、この花が桜である可能性は低いかもしれません。
もちろん桜花が六弁で描かれる事があり、又、花見の花が桜でなくてはならない必要もありません。
では、この六弁の花が桜ではないとすると、六弁の花と串団子の組み合わせは何を意味するものなのでしょうか。
お茶で串団子から連想できるものは多々あると思いますが、この茶入の制作年代以前の事柄から考えると、天正十五年(1587)北野大茶湯における「豊公、七軒茶屋に休息し時、御手洗団子を賞し・・・」の逸話との関連が指摘出来るように思います。
六弁の花と串団子が北野大茶湯(場所は北野天満宮)から導き出されたものとすると、六弁の花は北野天満宮と関連のある梅花となるでしょう。しかし、そうなるとなおさら花は五弁で描かれなければならなくなり、なぜ六弁で描かれたかは、本茶入の実作者か注文主しか分からないでしょう。
ただ、六弁の梅花は、実際に織部焼の鉢等に見られるとおり、絵高麗茶碗等に付されている梅鉢文(七曜文)との関連が指摘できると思います。
通常梅鉢文は六つの丸で表されるデザイン的なものですが、本茶入では、串団子の丸と図柄が重複することを嫌い、絵的に六弁の花を描いたものと思われます。
一推論として、本茶入に描かれた六弁の花と串団子は、花見よりも北野大茶湯を典拠にして描かれたもので、茶屋衆と関連のある串団子を描いているところから、本茶入の注文主は町衆の者であったと考えます。
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